ヨード卵・光100%使用! 贅沢だけどリーズナブルな
「マルキンの厚切りカットバウム」、おいしさの秘密

お菓子づくりに欠かせない材料といえば、卵を連想する人は多いはず。1964年に設立され、半世紀以上の歴史をもつ愛知県の老舗お菓子メーカー・マルキンでは、ブランド卵として知られる「ヨード卵・光」を100%使ったお菓子を発売。ロングヒットを記録しています。開発の背景、おいしさの秘密を教えていただきました。

愛知県豊橋市にある株式会社マルキン本社

お話をうかがった人

  • ●顧問
    中村誠さん
  • ●執行役員 商品部長 商品開発・品質管理 担当
    丸山喜之さん
  • ●商品部 品質管理課
    村松孝二さん

■独特のまったりしたコク、風味がクセになる

――いつ頃からヨード卵・光を材料として使い始めたのでしょうか。

丸山 現在、当社で販売している製品ラインナップでは、2003年に売り出したホール型のバウムクーヘンが最初です。ただし、厳密に言うとヨード卵・光を材料に使い始めたのはもっと歴史が古く、1964年の当社創業後、20年近く主力商品だった「たまごボーロ」にも使っておりました。

ちなみにヨード卵・光が、飼料メーカーの日本農産工業から発売されたのは1976年。本来の卵の栄養に加えて、海藻に多く含まれるミネラルの一種「ヨード(ヨウ素)」を加えた、日本初のブランド卵として登場し、現在に至っています。日本農産工業はマルキンの主な卵の仕入れ先。ヨード卵・光が世に登場したすぐ後に、製品材料として使い始めたということです。

――改めてヨード卵・光に着目した理由は何ですか。

丸山 背景にあったのが「“最良の素材”が“最良の商品”を生む」という信念でした。味香り戦略研究所での味覚センサーを用いた調査によると、食べた時のコクは一般的な卵の平均値と比べて3.5倍以上。さらに風味や旨味の強さ、黄身色の鮮やかさなども際立っていて、お客様にご満足と笑顔を届けることができると考えました。加えて、おいしさの決め手となるもうひとつの大切な要素、小麦粉は100%国内産の品を使っています。
2005年にはホールを10個にカットし、個包装して大袋に入れた「厚切りバウム」を発売しました。

『ヨード卵 厚切りバウム』
国内産小麦を100%使用。
食べやすいサイズにカットして個包装。

『ヨード卵 バウムクーヘン』
卵の味わいと、しっとりとした食感で
人気のバウムクーヘン

――なぜホールをカットした製品を発売したのでしょうか。

丸山 かつてバウムクーヘンは、一般的にホール型が主流でした。結婚式の引き出物や特別なお祝い事など、“ハレの日”用の高級菓子であり、スーパーマーケットの店頭にはあまり並んでいませんでした。
そこで当社は、ホールを一口サイズにカットした「厚切りバウム」として、皿、ナイフを使わず、手軽に食べられる身近なお菓子として売り出したのです。
これが大ヒットとなり、今では1日におよそ9,000袋を出荷。大量生産体制が整い、店頭価格はひと袋およそ300円とリーズナブルな設定を維持しています。
また、私たちの想定どおり、ヨード卵・光の効果は大きく「まったりしたコクが感じられて、一口サイズでも満足感がある」「袋を破った時に立ちのぼる風味がクセになって、ついもう1個…となります」など、お年寄りからお子様まで、幅広い世代のお客様からご好評をいただいております。

■街の洋菓子店と同じように、焼き上げ、カットもすべて手作業

――バウムクーヘンのつくり方を教えてください。

中村 工場生産ではありますが、街の洋菓子店などと同様に、すべて手作業で焼き上げています。オーブン前の体感温度は約50℃とかなりの高温となるものの、1台に1人が付き、30分ほどかけて丁寧に焼き上げ、その後60分ほどかけて粗熱を取ります。
ちなみに当社のバウムは、大体14~17巻き。季節や日中の温度差によって生地の状態が微妙に変わり、それに伴って巻き数が増減します。メーカー、洋菓子店それぞれの考え方で巻き数は異なるものですが、当社は、ヨード卵・光ならではの風味やコクを感じてもらいやすいバランスを追求した結果、14〜17巻きを基準としています。

丸山 ヨード卵・光は専門用語で言う「骨格」がしっかり形成されています。一般的な卵に比べて膨らみ方が良く、焼き縮みしにくい、「す」が入りにくい、焼き上がりのキメが細かい…といった特徴も当社の製品に反映されていますね。

中村 ちなみに、ヨード卵・光で卵かけごはんにすると、独特のコク、風味、旨味などがよりダイレクトに感じられますよ(笑)。

――それならば、ヨード卵・光の黄身だけでつくれば、ものすごくコクのある、リッチな味わいの製品ができるのではないかと思ってしまいますが。

丸山 黄身だけしか使わないと、コクどころか、焼き上がりがパサパサになってしまい、おいしくありません。ですからヨード卵・光は、黄身と白身の両方を割りほぐし「全液卵」として使っています。
目玉焼きを想像してください。黄身だけだとパサパサでおいしくないですよね? でも白身も一緒に食べることで食感、風味のバランスが良くなります。お菓子も同じなのです。

――なるほど! では続いて「鮮度」についてお聞きします。バウムクーヘンなどの半生菓子をおいしくいただくには、やはり鮮度がポイントになると思います。品質維持にはどのような配慮をされていますか。

中村 街の洋菓子店さんと違って「つくりたて感覚」を出すのは確かに難しい点ですね。カットすると表面積が増え、それだけ水分が失われやすく、風味も落ちやすいですし。
そこで大袋に封入しているのが「食品品質保持剤」です。これに含まれているエタノールは、殺菌・除菌効果に優れています。コロナ禍で使用機会が増えたアルコール消毒液にも多く含まれています。この保持剤が大袋に一つ入っており、無数に開けられた個包装の小さな穴を通じて、衛生環境の維持や、カビの発生を防ぐ働きをします。さらに、しっとりさを保つ効果もありますので、時間が経ってもパサつくことなく、できたての柔らかさをキープすることができます。

■豊富なアレンジレシピ、製品ラインナップも要チェック!

――そのままでも、もちろんおいしいのですが、何かアレンジレシピはありますか。

村松 カットバウムをお好みの薄さにカット、オーブントースターで10~15分焼く「バウムラスク」がイチオシです。カリッとした食感で新たなおいしさを楽しんでいただけます。よりシンプルな甘さで、普段甘いものをあまり食べない方にもおすすめですよ。焼き上がった製品はプレーンはもちろん、バター、チョコクリームを塗るなどお好みでお召し上がりください。
また、暑くなるこれからの季節は、冷凍庫で1日程度凍らせて食べるのもおすすめです。バウムは油脂分が多いのでさほど硬くならず、生の状態とは違う、キュッと締まった食感を楽しむことができます。
なお、冷凍庫に入れる際は、大袋のまま未開封の状態で入れてください。一旦凍った後に解凍されると風味が落ちたり、カビが生える原因にもなるため、冷凍庫から取り出した後は早めに食べきることをおすすめします。もし残ったら大袋に戻してしっかり封をする、あるいはタッパーなどに食品品質保持剤と一緒に移し替えて、冷凍庫に入れてくださいね。

バウムラスク
公式Instagramにて紹介

――1年前にはヨード卵・光と国内産小麦100%を使った最新ラインナップとして「ドーナツ」を発売されました。

中村 ポピュラーで市場性の高い商品・ドーナツを、当社の新たな定番製品にしようと開発、販売を開始しました。ヨード卵・光を材料に使ったドーナツは希少で、バウム同様、黄身の色が濃く、風味、コクが豊かでキメが細かい、オリジナリティの高いドーナツとして好評をいただいています。
当社では、ほかにもマフィンケーキ、一口サイズのプチケーキなどのラインナップを取り揃えております。ヨード卵・光100%使用ならではのおいしさを、お好みのお菓子でお楽しみください!