卵を産む哺乳類、実はいるんです!

オーストラリアのカモノハシです。

体長 30~45cm、カモノハシ科カモノハシ属に属していて、全身が毛で覆われた、鳥とモグラが合体したような動物です。また、みずかきがあって半水生で水辺の穴に棲み、口の部分がカモのくちばしに似ているのでカモノハシの名が付いています。2㎝以下の小さい卵を産み、お腹に抱えて温めます。

もともとすべての動物は、最初は卵(卵子)ですが、哺乳類は卵子が育って子どもの形になって産まれます。ところが、カモノハシは卵のまま。独自の進化を遂げた哺乳類と考えられています。

18世紀にオーストラリアから持ち込まれたカモノハシを見たヨーロッパの人たちは、これを何と分類したらいいのか論争になったとか。4本の脚を持ち、尻尾もあり、緻密な体毛が生えているなど哺乳類の特徴を備えているものの、くちばしやみずかきがあり、卵生という鳥類の特徴もあります。さらに、尿やふんの排出と精子や卵を排出する総排出腔という爬虫類の特徴も持っていて、当時の学者間でも意見が異なったようです。

決め手になったのは、乳腺が発見されたことでした。

哺乳類は文字通り、母乳で仔を育てる動物群です。一般には胎盤を介して母体内で仔を育てる"胎生"という生殖様式が有名ですが、カモノハシは卵生です。

しかし母親の体毛で覆われた皮膚から染み出す母乳を舐めて育つので、母乳で育てるという意味では、哺乳類といえるのです。