エッグアートってご存知ですか?

エッグアートとはダチョウやアヒル、ニワトリなどの鳥のたまごの殻(エッグシェル)に精密な細工と装飾を施すクラフトのことをいいます。

アメリカでは1977年にエッグアートの団体である「International Egg Art Guild」が設立され、アメリカ各地でエッグショーが開催されています。

日本でも、数多くのエッグアーティストたちが活躍していますが、洋風なデザインはもちろん、日本の歳時記をテーマに独自のオリジナル作品を制作したりして、無限の可能性を楽しんでいるようですね。エッグアートは限りない面白さを持ったクラフトとして、その華やかな作品と共に、人々の心を引きつけています。

そもそも美しい形のたまごは、その中に新しい生命を包み込んでいることから、REBIRTH(再誕生・復活)のシンボルとされ、"希望""幸福""祝福"の最高の贈り物とされてきました。

もともとは"イースターにたまごを贈る"という習慣から始まったようです。19世紀後半に、ことにヨーロッパ各国の上流階級の間で流行し、絢爛豪華な愛蔵のコレクションを披露し合って楽しんでいました。中でも宝飾細工師ピーター・カール・ファルベルジュ(1846~1920)の工房で作られた精緻な技術と貴重な素材の作品はヨーロッパ中の貴族を虜にしたそうです。彼は1885年にはロマノフ王朝の皇帝アレキサンダーⅢ世から依頼を受け、皇后フェオドロヴナに贈るためのイースターエッグを作製。以来、彼の工房で作るイースターエッグは、「インペリアルエッグ」と呼ばれるようになり、50個の作品を残したそうですが、ロシア革命によって彼の作品の多くは破壊され世界に散逸してしまったそうです。

いまではヨーロッパ、北米を中心に、様々なエッグデコレーターによってエッグアートが製作されていますが、その手法は多種多様。エッグシェルの装飾に関しては、各種コーティング剤、絵の具、接着剤を使い、特に使用上の制限はなく、例えばトールペイントやデコパーシュで使用する材料などはすべて使えるので、比較的自由に装飾できます。

監修:グレースエッグ主宰:渡邊 由子 

(日本エッグアート協会会員・インターナショナルエッグアートギルド会員)