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アンチエイジング
米井嘉一プロフィール

慶応義塾大学医学部卒業。日本鋼管病院内科長・人間ドック脳ドック室部長を経て、現在日本初の抗加齢医学講座である同志社大学アンチエイジングリサーチセンター教授。2000年、総合病院では初めてとなる「アンチエイジング(老化度判定)ドック」を開設。抗加齢医学の伝道師として活動中。
おもな著書に、「抗加齢医学入門」(慶應義塾大学出版会)・「アンチエイジングのすすめ」(新潮社)ほか。

前回のインタビューでは"アンチエイジングな食を考える"ということについて、米井教授にお話を伺いました。今回も引き続き"食"と"アンチエイジング"との関わりについて、お話を伺いたいと思います。

アンチエイジングとは何か?

米井先生はいつも食事のお話をする際、「よく噛んで食べて下さい」ということをよくおっしゃいます。よく噛むことによって食べ物を消化しやすくなるということはわかるのですが、それ以外に「よく噛んで食べる」ことによって私たちにはどのようなメリットがあるんでしょうか?

「『噛む』という行為はアンチエイジング(老化予防)の観点から大変重要です。老化といっても様々な要素があるので、アンチエイジング医学では老化の程度(老化度)を『筋年齢』『血管年齢』『神経年齢』『ホルモン年齢』『骨年齢』の5つ、老化を促進させる危険因子を『免疫機能』『酸化ストレス』『心身ストレス』『生活習慣』『代謝機能』の5つに分けて考えるようにしています。それぞれに対し、『よく噛む』という行為は大変メリットのある行為なんです。」

そうなんですね。是非具体的に教えていただけますか?

「わかりました。ちょっと長くなりますけどお付き合いください(笑)
『筋年齢』は歳をとるにつれて生じる筋肉の衰えを表します。噛むという行為自体が咀嚼筋という筋肉を使うわけですから、筋年齢に好影響を及ぼします。」

なるほど、頬のたるみなんかにも良さそうですね。

「そのとおりです。例えば虫歯などで片方の歯でしか噛めない方の場合、噛んでない方の頬のたるみと、よく噛んでいる方の頬のたるみが違います。みなさんご自分の顔を鏡で見てみてください。もし右か左、どちらか一方のたるみ方がもう片方と違う人は、クセなどでどちらか一方ばかりで噛んでいませんか?」

早速鏡で見てみます・・。

「次に『血管年齢』は動脈硬化の程度を表し、加齢とともに血液の流れが悪くなり血管が詰まりやすくなります。咀嚼回数が増えると、口周囲の筋肉のみならず脳の血流が増加します。血管を若く健康に保つことにも貢献します。また『神経年齢』は神経の働きを表しますが、これも加齢に伴って次第に衰えます。神経機能の老化予防はなんといっても、神経を使うことです。よく噛むことで咀嚼筋を支配する運動神経をたくさん使えば、神経機能にも好影響をもたらします。」

噛むことによって血流の改善や神経機能に影響があるなんて初めて知りました。

「さらに『ホルモン年齢』は加齢に伴って低下する若さと健康を保つホルモンの分泌状態を示します。よく噛むことによって分泌促進されるホルモンには、唾液腺から出るパロチンと脳下垂体から出る成長ホルモンがあります。成長ホルモンは肝臓を刺激してIGF-Iという別のホルモン産生を促し、両者の相互作用によって組織の修復や維持、心肺機能の維持、消化器や生殖器の機能維持がなされています。『骨年齢』は骨密度の低下を反映します。よく噛んで食べれば唾液アミラーゼの作用も充分加わり、消化管が働きやすくなり、カルシウムなどのミネラル分やビタミンDなど骨に必要な栄養分が消化吸収されやすくなります。」

いや、本当に『よく噛む』ことはいいことずくめですね。

「まだありますよ。噛むことが『免疫機能』『代謝機能』にどのような影響を及ぼすかについてはまだ研究段階ですが、噛むことが『心身ストレス』対策になるという研究成績はあるようです。逆に、よく噛まないと消化不良や腸内異常発酵を起こしやすくなり、腸内の悪玉菌が増え、毒素産生量やフリーラジカル発生量が増えてしまいます。フリーラジカルは『酸化ストレス』の原因です。普段からよく噛む習慣がある人は、高齢になっても残存歯数が多く、いつまでも自分の歯でおいしく楽しく食事することができるでしょう。」

『よく噛む』ということは、誰でも簡単にすぐできることですよね。本当にちょっとしたことをすることで、米井教授からお話していただいたような素晴らしいメリットがあることがよくわかりました。みなさんも『よく噛んで食べる』を意識して食事をしていきましょう。次回は『食べる順番を考える』について米井教授に伺いたいと思います。みなさんお楽しみに。

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